a.ゲームの目的と流れ
ゲームの目的は絵札(10〜A)を集めることである。ただし、ナポレオンでは従来のゲームが個人戦であるのと違い基本的に団体戦である。すなわち、一人がとった枚数で勝敗が決まるのではなく、ペアを組んでいる味方と協力しながら絵札を集め、団体としての合計枚数で勝負を決定するというものである。団体には2種類あり、片方がナポレオン軍、もう一方が連合軍といい、基本的にナポレオン軍は2人で、残りの人間が連合軍となる。このゲームで最も重要なのは、ゲームの最初に行われる、ナポレオン軍と連合軍の決定で、自分がナポレオンに所属するか連合軍に所属するかは、このときに決まる。
まず、ナポレオンの決め方であるが、これは、ナポレオンになりたい人間同士の競りによって行われる。ゲームの参加者はゲームの開始時、手札を見て強そうであれば自分が絵札を何枚取るかを言ってナポレオンになると宣言する(立つ)ことができる。誰かが宣言を行ったとき、他の参加者はその宣言に不服がないならばそれを認め(了承し)、不服がある場合には、自分が新たにナポレオンになると宣言する。条件を変えながら宣言が繰り返され、誰かの行った宣言がその他の参加者全員から認められた場合に、宣言をした人間がナポレオンになる。
そして、ナポレオンに認められた人間はある方法で副官を指名することができ、ナポレオンと副官でナポレオン軍を構成することになる。そして残りの人間が連合軍を構成する。このように2つの軍に別れて実際にゲームを行ってカードを取り合い、ナポレオン軍がナポレオンが宣言するときに言った枚数の絵札を取っていれば勝ち、そうでなければ連合軍の勝ちとなる。
最初にカードが配られたとき、自分のカードが弱いのに無理してナポレオンになろうとすると、いざナポレオンになったときに、まったく宣言した枚数の絵札を集めることができないが、弱いカードでは、連合軍でゲームをやっていてもやはり何にもできないので面白くない。また、宣言にはあるやり方があり(3.準備 b.宣言の仕方のところを参照)宣言の行われ方によって、自分のカードは強くも弱くもなり、自分で好きなように宣言をすれば強いカードでも、他人に宣言されると一転して弱くなってしまう場合があって、ここにナポレオン特有の"宣言"のシステムが成り立つ理由がある。
ゲームの流れをまとめると、
- カードを配る
- ナポレオンの宣言をする
- 認められたナポレオンが副官を指名する
- ナポレオンがカードの交換をする(3.準備 c.副官の指名とカードの交換)
- 実際にゲームを行って、絵札を取り合う
- 勝敗が決まる
b.副官の役割と連合軍の協力
さて、ナポレオンが宣言した後副官が指名されるが、その指名の方法のために、副官以外には誰が副官になっているかわからないという状態でゲームが始められる。
副官はナポレオン軍に属する人間であるから、当然ナポレオンに協力しなければいけない。自分で絵札を取ってもいいが、ほかにもナポレオンが絵札を取りやすい状況を作るとか、連合軍を撹乱するとか、やるべきことは結構ある。
連合軍側の人間も連合軍内で協力して絵札を集めて行かなくてはいけないが、ゲームが始まった時点では、副官が誰かわからない。連合軍としては副官に絵札を取らせるわけにはいかないので、誰が副官かを見極めることが連合軍に所属する人間にとって重要になってくる。連合軍は互いに協力して副官を見つけ出し、副官に絵札を取らせないように注意しながらゲームを進めなくてはいけない。
いずれにしても、なじみのない人間にとっては複雑なルールであるので、実際にゲームを行っているのを見ながら覚えるのが一番よい。
ここでは、カードの使い方ではなく、どのような種類のカードがあるかだけを説明する。使うカードは、通常の52枚のほかにジョーカー2枚の計54枚である。ジョーカーは2枚のうち1枚を赤ジョーカー、もう1枚を黒ジョーカーとして、赤と黒の区別は、区別がつけばなんでもよい。2枚のジョーカーのうち、色の着いているほうとか、文字の多いほうを赤ジョーカーにすればよい。2枚のジョーカーがまったく同じなら片方に印でもつける。
カードには強さがあり、以下に説明するように決まっている。カードの強さはゲームを進めて行き、絵札を取る際に重要である。カードの取り方は4.ゲームの進め方を参照。
a.絵札
各スート(マーク)の10〜Aまでのカードで、合計20枚ある。このカードを集めるのがこのゲームの目的である。絵札は強いものも弱いものもあり、以下に説明する切り札になっている場合や役カードになっているものは強い。
b.切り札
特定のスートのすべてのカード。どのスートかはナポレオンが宣言する(立つ)ときに決める。切り札になったスートのカードはほかのスートのカードよりも強い。切り札がハートに決まったら、ハートのカードはすべて切り札となり、他のダイヤやスペードなどといったスートのカードよりも強くなる。ただし、以下に説明のある役カードよりは弱い。
c.役カード
切り札の上位に位置するカードで4枚ある。
- マイティ
- スペードのエース。他のどのカードよりも強い。ただし、切り札がスペードのときに限り、クラブのエースがマイティとなる。
- ジョーカー<強(つよ)ジョーカー>
- 切り札と同じ色のジョーカーで、マイティの次に強い。切り札と同じ色というのは、切り札がスペードやクラブなら黒、ハートやダイヤなら赤、という意味である。切り札と同じ色でないジョーカーは弱(よわ)ジョーカーとなる。弱ジョーカーについては下のd.その他の特殊なカードで説明する。一般に省略して強ジョ、弱ジョなどと呼ぶ。
- 正(せい)ジャック
- 切り札のスートのジャック。ジョーカーの次に強い。正ジャ。
- 裏ジャック
- 切り札と同じ色のもう一方のスートのジャック。すなわち、切り札がハートなら、ハートのジャックが正ジャックで、ダイヤのジャックが裏ジャックになる。正ジャの次に強い。裏ジャ。
d.その他の特殊なカード
- セイム2(ツー)
- 切り札以外のスートの2。一定の条件の下に切り札や役カードの次に強くなる。略してセイムなどと呼ばれる。
- ディファレント3(スリー)
- 切り札以外のスートの3。一定の条件の下に切り札や役カードの次に強くなる。上記のセイム2とは条件が重ならない。ディファ3(さん)、ディファなどと呼ぶ。
- 弱(よわ)ジョーカー
- 切り札の色と違う色のジョーカー。たとえば切り札がスペードなら赤ジョーカーが弱ジョーカーとなる基本的に他のどのカードよりも弱いカードで、どのスートにも属していないものとして扱われるカード。通常は何の役にも立たないが、たまに役に立つことがある。4.ゲームの進め方を参照。
ゲームが始まるまでを解説する。実際にカードを出してゲームを行うまでの部分であるが、このゲームにおいては非常に重要である。
a.カードの配り方
配られるカードには、参加する人間の手札と、後でナポレオンが使う交換用の札(c.副官の指名とカードの交換参照)があり、それぞれの枚数はゲームに参加する人数によって決まっている。カードはすべて裏にして配る。
- 4人の場合
- 各参加者に12枚ずつ配って、残り6枚を真ん中に置いておく。
- 5人の場合
- 各参加者に10枚ずつ配って、残り4枚を真ん中に置いておく。
- 6人の場合
- 各参加者に8枚ずつ配って、残り6枚を真ん中に置いておく。
b.宣言の仕方
ナポレオンは、"宣言の競り"によって決められる。宣言するとは、ゲームの参加者に対して一定の条件を示して自分がナポレオンになると言うことである。ふつう自分のカードが強いと思ったら(2.カードの種類、4.ゲームの進め方参照)宣言を行う。ナポレオンになると宣言することを、立つという。
宣言するときに必要な項目は、
- 切り札のスート(マーク)を何にするか
- ナポレオン(軍)として合計何枚の絵札を取るか
の2点である。誰かが既に宣言していて、それを全員が認めた(了承した)場合、その人間がナポレオンになる。認めるとは、誰かの行っている宣言の条件に満足している、または、不服ではあるが自分ではカードが弱くとてもナポレオンに宣言することができない、という状態を言う。他人の宣言の内容が気に入らず(普通は切り札のスートが問題であることが多い)、その宣言を認めない場合は、相手よりも強い条件で自分で新たにナポレオンになると宣言しなくてはいけない。強い条件とは、取ると宣言する絵札の枚数がより多い、または枚数は同じでも、切り札のスートがより強いことをいう。スートの強さの順は
- スペード
- ハート
- ダイヤ
- クラブ
である。以下に宣言の例を示す。上から順番に宣言が行われたとする。
- (切り札)スペード(取る絵札の枚数)11(枚)
- ダイヤ12<枚数が多いので有功>
- ハート12<枚数は同じだがダイヤよりもハートのほうが強いので有功>
- ダイヤ14<枚数は一度に何枚増やしてもよい。有功>
- スペード13<枚数が少ないので無効>
- クラブ14<クラブはダイヤよりも弱いので無効>
- ダイヤ15<同じダイヤでも、条件が強ければよいので有効>
というように宣言が行われていって、最後の宣言の後、ほかにそれ以上強い宣言をできる参加者がいなければ、その宣言は全員から認められたことになり、最後に宣言した条件で、その宣言をした人間がナポレオンになる。なお、宣言は、より強ければ新しい条件で宣言できるという法則に従うので、これを満たしていれば現在宣言している人間が更に宣言することもできる。上記の例なら、最後に宣言した人が更にスペード15と宣言してもよい。
この宣言の"競り"は、いかにその宣言によって、自分が勝つことができるようになるかを目的に行う。勝つのは、ナポレオン軍に所属してであっても、連合軍に所属してであってもよい。したがって、自分のカードが弱いのに無理してナポレオンに宣言してそれが認められても勝つ事はできないし、逆に、現在誰かによって行われている宣言の内容では自分のカードが弱くなってしまう場合でも、宣言をしている人間が非常に無理をして宣言しているということが分かれば、そのまま宣言が認められた場合、自分が連合軍として勝てる可能性は大きいわけである。
自分のカードが強いということは、特定のスートを数多く持っていて、そのスートを切り札にしたら自分のカードが強くなる、またあるスートを切り札にしたときに、役になるカードを持っている、ということである。ただし、いくら特定のスートが数多くあって、そのスートが切り札になった場合の役カードを持っている場合でも、その他のカードによっては自分のカードが強いとは限らない。
また、実際にやってみればわかることであるが、平均的にナポレオン軍が取れる絵札の枚数は4人では14枚前後、5人で12〜13枚、6人で11〜12枚くらいであるので、これを目安に宣言を行うとよい。
c.副官の指名とカードの交換
宣言が認められたら、ナポレオンになった人物は、まず副官を指名する。この副官とナポレオンの2人でナポレオン軍を構成することになる。副官の指名の仕方は、特定の誰かを指名するのではなく、特定のカードを持っている人間という形で行う。特定のカードにはどのカードを指名してもよい。が、ナポレオン軍が強くならなくてはいけないので、通常、宣言している条件においてもっとも強いカードとなる。従って、指名されるカードは普通役カードで、多くの場合マイティやジョーカー(強ジョーカー)である。
副官が指名されたとき、副官は自分が指名されたことを言ってはいけない。それによってこの時点では、実際に副官が指名された人間以外には、誰が副官か分からない状態になる。この状態は、実際にゲームが始まって、副官がその副官に指名されているカードを出すまで続く。
副官が決まったら、次にナポレオンは、カードを配ったとき(a.カードの配り方)に交換用に残していたカードを自分のカードに加え、その合わせたカードの中からいらないカードを、加えた枚数だけ捨てる。捨てるカードは裏にして捨てるが、絵札を捨てる場合、絵札だけは表にして捨てる。このゲームの目的は絵札を集めることであるが、場合によって必要ない絵札を捨ててしまったようがよい場合があるのである。捨てられた絵札はゲーム中で取った絵札の枚数に数えない。
カードを捨てるときに絵札を表にするのは、実際ゲームを始めてから取れるカードの枚数をはっきりさせるためである。絵札は、捨てられる枚数いっぱいの枚数まで捨てることができるが、捨てすぎれば、実際のゲームで取ることのできる絵札の枚数が減ってしまうことに注意しなくてはいけない。たとえば、取る絵札の枚数を17枚と宣言しておいて、絵札を4枚捨ててしまったら、絵札は全部で20枚しかないので、ナポレオン軍はどのようにしても勝つことができなくなってしまう。従って、この場合ナポレオンとしては要らない絵札が4枚あってもすべて捨ててしまうわけにはいかない。
さて、上記のように宣言を行って、副官を指名して交換用のカードを引いてみると、副官に指名したカードが入っている場合がある。この場合、ナポレオン以外の人間は副官に指名したカードを持っていないのであるから全員が連合軍となり、ナポレオン軍はナポレオン一人となる。この状態を独り立ちという。この状態ではナポレオンは一人で宣言した枚数の絵札をとらなくてはいけないので、ナポレオン軍は非常に戦いがつらくなる。
d.特例としての宣言のやり直し
宣言が認められたナポレオンは、ここまでに説明したように副官を指名して、さらにカードの交換を行うが、ナポレオンにはこの交換用のカードを手札に加えた後に宣言の条件を変える権利がある。ただし、宣言の条件を変えるには、取る絵札の枚数を5枚増やさなくてはいけない。このルールはナポレオンは取る絵札の枚数を5枚増やすことによって、切り札のスートと副官に指名するカードを好きなように変えることができるというものである。ナポレオンが宣言の条件を変えることを立ち直しをするという。また取る絵札の枚数を5枚増やすことから、このことを5枚プラスともいう。
取る絵札の枚数を5枚増やしても条件を変える場合とは、カード交換をしてみて自分が独り立ちの状態になってしまったと分かった場合や、加えたカードにより自分で宣言したスートより別のスートのほうで宣言していたほうが強くなってしまう場合である。特に、独り立ちの場合はまずナポレオンは勝つことができないので、5枚増やしても副官を指名し直したほうがよい場合が多い。
その他、圧倒的に強すぎる場合にも立ち直しをしたほうがいい場合がある(5.その他 a.全取り)が、この状態になることは普通はない。
以上、すべてが決まるとゲームが開始される。
a.カードの出し方
ゲームはターン制で行われる。各ターンには時計周りで全員が1枚ずつカードを出し、各参加者に配られたカードの枚数と同じターン数で1つのゲームが行われる。各ターンで最初にカードを出すのは、最初のターンがナポレオン、それ以降は前のターンを取った人間となる。ターンを取れるのは、そのターンでもっとも強いカードを出した人間である。(ターンの取り方は b.以下の項目で説明)
各ターンの最初に出されたカードのことは、請求札または台札(だいふだ)とよばれ、そのターンでそれ以降にカードを出す人間は、持っていれば必ず請求札と同じスート(マーク)のカードを出さなくてはいけない。持っていない場合(このことを(特定のスートが)切れているという)は、好きなスートのカードを出してよい。各ターンの最初で、あるスートのカードを出すことを、そのスートを請求するといい、例えば誰かがターンの最初のカード(請求札)として、ハートの4を出せば、ハート請求が行われたことになる。また、請求されたスートが切り札であった場合には、切り札請求が行われたという。このルールは、このゲームのもっとも基本的な部分であるので、守られないとゲームが成立しない。もし、以前のターンにハートの請求札が出ていてその時にハートを出さなかった人間が、それより後のターンでハートを出すことがあったら、ルール違反でゲームがその時点で終了してしまう。
また2枚あるジョーカーについては、自分が請求札と同じスートのカードを持っているかに関わらずいつでも出すことができる。ジョーカーを請求札として出す場合、強ジョーカーの場合は出した人間が請求するスートをなんでも指定でき、弱ジョーカーの場合は切り札請求となる。
b.カードの基本的な取り方
カードを取るというのは、各ターンでターンを取った人間が、そのターンで出された絵札を自分のものにするという意味である。ただし、自分のものにするというのは、手持ちの札に加えるという意味ではなく、ゲームの目的(1.概要)のために集める絵札になるという意味である。当然ながら、より多くのターンを取れる人間は、絵札を取るチャンスも増える。
各ターンを取れるのは、そのターンで最も強いカードを出した人間である。基本的には、請求スートでもっとも大きい数字(Aが最大)のカードがそれになる。したがって、請求札があるスートの2でも、それ以外の人間がそのスートのカードを出せなければ(役カードや切り札が出ている場合は異なる。c.以下の項目で説明)、請求札である2が最強カードとなり、それを出した人間がそのターンを取ることができる。ターンを取るという変わりに手番を取るともいうが、多少ニュアンスが違う場合がある。
例として、いま切り札がスペードとして順に、
と出たとすると、請求札はハートであるので、ハートKを出した人間がターンを取ることができ、取ることのできる絵札は、ハートのK、クラブK、ダイヤAの3枚である。
c.切り札や役カードで取る
切り札についても、基本的な出し方は、b.基本的なカードの取り方
で説明したのと同じである。違う点は、切り札以外のスートが請求されているとき、そのスートのカードを持っておらず、切り札を出した場合に、請求スートの最強カードよりも切り札のほうが強くなる、という点である。
先ほどと同じように切り札がスペードとして、順に、
と出たとすると、請求札はハートで、請求スートで一番強いのはハートAであるが、ターンを取ることをできるのは切り札であるスペード3を出した人間である。なお、切り札が複数枚出ている場合は、その中でもっとも強い(数字の大きい)カードを出した人間がターンを取ることができる。
一方、役カードについても、ジョーカー以外は、基本的な出し方のルールに従う。例えば請求札としてマイティ(スペードのA)を出せばそのターンはスペード請求となるし、スペード請求のとき、マイティしか持っていなければそれを出さなくてはいけない。しかし、役カードは強さとして、切り札カードの上位に位置しているので(2.カードの種類参照)、たとえ切り札のAが出されている場合でも、役カードが出ていれば、役カードを出した人間がターンを取ることができる。当然、切り札のスートでない役カード(ここでは裏ジャックのこと)のスートが請求されていて、そのスートのAと役カードが同時に出ていれば、役カードのほうが強い。
以下に例を示す。切り札はハートとして、順に出されたものとする。色付きのカードがターンを取れるカードである。
| ハート6 | ハートJ (正ジャック) | ハートA | ハート4 | ダイヤA |
| クラブ4 | クラブQ | クラブA | ハートK | 赤ジョーカー (強ジョーカー) |
| ダイヤ5 | ダイヤA | ハート8 | ダイヤJ (裏ジャック) | ダイヤ9 |
役カードにも強さが設定されているので、1ターンに2枚以上の役カードが出された場合には、より上位の役カードを出した人間がターンを取ることになる。例えば、切り札がスペードで、
と出た場合、出されたカードは前から順に、切り札のA、裏ジャック、正ジャック、強ジョーカー、マイティ(切り札がスペードのAの場合に限ってクラブのAがマイティ)であるので、この中でもっとも強いマイティであるクラブのAを出した人間がターンを取ることができる。
なお、ジョーカーについてはいつでも出せる。このうち強ジョーカーのほうは、マイティの次に強い役カードであり、また請求札として出した場合にどのスートでも請求できる(請求札として出しても強さは変わらない)。弱ジョーカーのほうもいつでも出すことができるが、役カードではないので弱く、何かの請求が行われているときにこの弱ジョーカーを出しても、請求スートの2よりも弱いカードとみなされターンを取ることはできない。弱ジョーカーを請求札として出すと切り札請求となる。なお、弱ジョーカーを請求札として出して(切り札請求)、そのターンに切り札も役カードもでなかった場合だけは、弱ジョーカーを出した人間がターンを取ることができる。
d.セイム2(ツー)、ディファレント3(スリー)でとる
特殊なターンの取り方として、この2つがある。これらが成立する条件は
- セイム2
- そのターンで、切り札や役カードが一枚も出ておらず、請求スート以外のスートが出ていない場合、もし2を出した人間がいれば、その人間がターンを取ることができる。
- ディファレント3
- そのターンで、切り札や役カードが一枚も出ておらず、請求スート以外のスートが一枚だけ混ざっていた場合、請求スートの3を出した人間がいれば、その人間がターンを取ることができる。
上記の二つは、とにかく切り札や役カードが出ていないときしか成立しないので、切り札の2や3は、これらの条件を満たすことができず特に意味を持たない。また、そうでない場合でも、請求札として2や3を出した場合には、セイム2やディファレント3は成立しない。以下に例を示す。切り札はダイヤである。
| ハート6 | ハートK | ハート2 | ハート4 | ハート10 | -セイム2成立 |
| スペードQ | スペード2 | スペードK | クラブ7 | スペード10 | -セイム2不成立 |
| ハート4 | ハート2 | ハートK | ハート7 | ハートJ (裏ジャック) | -セイム2不成立 |
| クラブ4 | クラブ3 | スペードJ | クラブ2 | クラブA | -ディファレント3成立 |
| スペード6 | ダイヤ8 (切り札) | スペード9 | スペード3 | スペードQ | -ディファレント3不成立 |
ダイヤK (切り札請求) | ダイヤ3 | ハート8 | ダイヤ10 | ダイヤ7 | -ディファレント3不成立 |
クラブ2 (請求札) | クラブ3 | クラブ8 | クラブA | クラブJ | -セイム2不成立 |
セイム2および、ディファレント3と弱ジョーカーの関係であるが、弱ジョーカーはセイム2を切って、ディファレント3を成立させる。すなわち、弱いジョーカーは請求スートとは異なるスートの札として扱われる。ダイヤを切り札として、黒ジョーカーが弱ジョーカーとなるが、以下のようになる。
| ハートK | ハート3 | ハート2 | 黒ジョーカー | ハート7 | ディファレント3が成立 |
| クラブ10 | クラブ2 | クラブ3 | ハート5 | 黒ジョーカー | どちらも不成立 |
強ジョーカーが出ている場合は、強ジョーカーは役カードであるので、当然セイム2もディファレント3も成立しない。
なお、一般的にゲームが始まって最初のターンはセイム2が効かないというルールを取る場合があるが、ここではルールのバランス上採用していない。すなわち、最初のターンから、セイム2やディファレント3が有功となる。
e.ジョーカーについて
これまでの各説明においてジョーカーについて触れてきたが、ここにジョーカーの働きをまとめておく。ジョーカーは請求スートと同じスートを持っているかどうかに関わらずいつでも出すことができる。
- 強ジョーカー
- 対応するカード
- 切り札と同じ色のジョーカー。
- 強さ
- マイティの次。全カードで2番目に強い。
- 請求札として出した場合
- 請求スートを指定できる。
- セイム2、ディファレント3との関係
- 強ジョーカーは役カードであるので、これらを成立させない(役カードのほうが強い)。
- 弱ジョーカー
- 対応するカード
- 切り札と違う色のジョーカー。
- 強さ
- 弱い。特殊な場合以外出してもターンは取れない。
- 請求札として出した場合
- 切り札請求。
- セイム2、ディファレント3との関係
- セイム2を切って、ディファレント3を成立させる。
f.ゲームの終了
すべてのカードを出しきったらゲームは終了である。副官は、ゲームの途中で、指名されたカードを出した時点で判明する。ナポレオンと副官で構成されるナポレオン軍が、立つときに宣言した枚数の絵札を取っていれば、ナポレオン軍の勝ちとなる。
もちろんゲーム中に、ナポレオンが最初のカード交換の際に捨てた絵札の枚数と現在連合軍が取っている絵札の枚数から、ゲームを最後まで行わなくても、ナポレオンが宣言した枚数の絵札を取れないことが明らかになる場合がある。この場合は、その時点でゲームを終了してもいいし、別に最後までゲームを続けてナポレオン軍が何枚絵札を取れるかを見てもいい。
a.全取り
ナポレオン軍が取れる絵札を全部とってしまったらナポレオン軍の負けというルールである。このルールは、ナポレオンの圧勝を防ぐ意味でそれなりに意味がある。取れる絵札を全部とるという条件であるから、ナポレオンがカード交換で捨てた絵札は枚数に含まれない。すなわち、カード交換で捨てた絵札がある場合は、それ以外の絵札をすべて取ってしまったら全取りが成立する。全取りのことを全取らせとか全付けなどといったりもする。
ただし、ナポレオンが取ると宣言している枚数が、取ることのできる枚数と一致している場合には、すべてとっても全取りは成立しない。すなわち、20枚で立っている(取ると宣言している絵札の枚数が20枚)とき20枚取った場合や、17枚で立ってカード交換で絵札を3枚捨てているときに17枚取った場合には、全取りとはならず、ナポレオンの勝ちとなる。したがって、19枚くらいで立っている場合には、20枚取らないために無理をして連合軍に1枚だけ取らせるよりは、カード交換の際にわざと1枚絵札を捨てて、取れる絵札の数を19枚にしてしまったほうが楽になったりすることがある。
5人でやっている場合、大体役が1枚、切り札になるカードが4枚くらいあれば、12〜13枚くらい取れる。15枚以上取るには、自分で3枚役カードを持っていて、さらに切り札になるカードを4〜5枚は持っていないとつらい。副官には自分の持っていない役で最強のカードを指名すること。
副官として指名する役とあわせて、ナポレオン軍で役をすべて持っている(4役制覇)状態でも、切り札となるカードがあまりなければ、10枚も取れない場合がある。逆に切り札になるカードが7〜8枚あっても、役札がなければ10枚くらいしか取れない。
ナポレオンになろうとしている人間は、自分が宣言すると手持ちカードが強くなるので宣言している。従って、ほかの人間の宣言の内容が気に入らなければ、ぎりぎりまで宣言の枚数をあげてくる。これを利用して、自分ではあまり宣言する気がない場合でも、ある程度相手の宣言の枚数をあげることができる。これをはったりといったりもする。しかし、調子に乗ってこれをやると、相手の人間があきらめたり、こちらが立つ気がないのを見抜いてこちらの宣言を了承したりすることがあるので注意。
人の宣言の内容を聞いていると、誰が何の役を持っているか何となく分かることがある。他人に宣言されると、どうも自分が不利になるような場合は、現在宣言している人間を副官にするつもりで、その宣言と同じスートか同じ色のスートで立つということをする場合がある。副官にするというのは、その宣言をしていた人間が、自分の宣言する切り札で強く、副官に指名するカードによってその人間を副官にできるという意味である。しかし、指名したカードを本当にその人間が持っているかどうかはなかなか分からないし、はったりの可能性もあるので、するときは慎重におこなう。
ナポレオンの位置は重要である。ナポレオンとなる人物のカードは強いのでナポレオンは手番を取る(ターンを取る)ことが多いが、カードは時計周りで出されるので、ナポレオンの右隣にくる人間は、ナポレオンが手番を取っているときは、ターンの最後にカードを出すことができる。したがって、出ているカードの様子をうかがいながらゲームを行えるのである。この時ある程度強いカードを持っていれば、自分で絵札を取れるチャンスが広がる。
副官は、少なくとも1枚は強いカードを持っている人間であるので、この"いい位置"にいればカードを取りやすい。宣言の内容によって、自分が副官になり、しかもこの位置にくるならば、ナポレオン軍の勝つ可能性はあがる。
ナポレオンになった人間は、カード交換の際に、切り札でない特定のスートを切るようにしておく(うまくカードを捨ててそのスートのカードを持っていないようにしておく)とゲームを進めやすい。特に、役札も何もないスートは切っておきたい。
また、ゲーム中、連合軍の人間にもナポレオン軍の人間にもいえることであるが、切り札でない特定のスートが切れるようにカードを出して行くと、そのスートの請求が行われたときに自分が好きなカード出せるようになるのでやりやすい。
ナポレオンになった人間は、カード交換の際に、いらない絵札(切り札でも役でもない絵札=ごみ絵札)は、捨てられるものなら捨ててしまったほうがよい。そのカードを捨てることによって取ることのできる可能性のあるカードは1枚減るが、いらない絵札を持っているとそのカードが原因で連合軍に2枚も3枚も絵札を取られる結果になる可能性が高いからである。とはいえ、むやみに捨てすぎるのも問題で、本当に捨てる必要があるものだけを見抜くことが重要である。
ナポレオンとしての基本中の基本がこれである。すなわち、切り札請求をするのである。切り札はそれが出せればターンを取ることのできるカードであるから、連合軍が切り札を持っていないようにすることは、重要なことである。ナポレオンとして宣言しているからには、ほかの人間と比べれば切り札の枚数が多いので、連合軍が全員切り札を持っていない状態にすればターンを取られることもないし、ターンを取られていれもすぐに取り返すことができるようになる。
マイティは最強カードではあるが、スペードA(スペードが切り札ならクラブのA)という弱点を持っている。つまり、マイティを持っている人間は、スペード請求に対しほかにスペードを持っていなければマイティを出さなくてはいけない。マイティは普通ナポレオン軍が持っているので、このカードが早くに出てしまえば、連合軍の持っている比較的強いカードは、同一ターンにマイティとかち合う(マイティにくわれる)ことがなくなり、使いやすくなるのである。
切り札でないスートのAは、そのスートではもっとも強いカードであるが、そのカードで手番を取れる可能性はあまり高くない。そのスートの最初の請求のときに出すと、セイム2が成立する可能性が高く、またセイム2が効かない場合は、請求されたスートを持っていない人間が切り札を出す可能性が高いからである。
また、ナポレオンが立つときには、セイム2の枚数も考慮に入れている場合も多い、すなわち、セイム2を持っているから立っていることがあるので、むやみなスートを請求すると、ナポレオンにセイム2で持ってかれてしまう可能性が意外に高い。
ナポレオンは、たくさん手番を取って、多くの絵札を取らなくてはいけない。しかし、連合軍の持っている強いカード(切り札の上位カード)を無理に刈りに行こうとしても(すなわち、より上位のカードとかち合わせて出させようとしても)なかなかうまく出してくれない。それくらいなら、あまり強くないカードを出して、強めのカードを先に使わせてしまうのが手である。強めのカードが早くなくなれば、ナポレオンとしては後々の戦略が立てやすい。
ゲームが始まってすぐのときには、誰が副官か分からず、ナポレオン軍に絵札を持っていかれるといやなので、連合軍の人間としてはどうしても絵札を出し惜しみがちになる。しかし、絵札を出さないでいると、そのうちナポレオン軍のペースになってきて、残しておいた絵札を全部持っていかれてしまったりすることになる。それくらいなら、早目に絵札は出して、連合軍に行くようにしたほうがよい。もちろん、明らかにナポレオン軍がターンを取るとわかっているときに絵札を出すことはない。しかし、連合軍がターンを取れる可能性があるのならばタイミングを見計らってうまく絵札を出すべきである。
特に出し惜しみでよくないのは、切り札の絵札である。切り札の絵札は強いカードであるので使いたくないが、出し惜しんでいると、ナポレオン軍のより強いカードに持っていかれてしまうことが多い。もちろん、ナポレオン軍に持っていかれない自信があるのならばこの限りではない。
裏ジャックは役カードの中ではもっとも弱いカードで、より上位の役カードにくわれたりして、なかなか使いどころが難しい。しかし、マイティ狩りや切り札請求で出さざるを得ないマイティや正ジャック、いつでも出せて強いが自身が絵札でないジョーカーと比べると、使い方しだいで数多くの絵札を取ることができる。
ナポレオンが自分でマイティとジョーカーを持っている場合には、副官としては、正ジャックよりも裏ジャックを指名したほうがやりやすい場合が多い。自分の持っている切り札の枚数が多ければ、切り札刈りのさいに、正ジャックを狩れる可能性が高いからである。
一見何の役にも立たなそうな弱ジョーカーであるが、場合によってはゲームを左右するほどの働きをすることがある。
まずナポレオンが持っていた場合には、弱ジョーカーは請求札にすれば切り札請求になるので、切り札の変わりに使える。
その他の人間が持っている場合でも、ナポレオンがセイム2を成立させようとしているときに出して、ナポレオンに持っていかせないようにするとか、逆に味方が3を出しているときに、わざと出して、ディファ3を成立させたりとかである。特に、ゲームが始まって最初のターンにナポレオンが切り札でないAを出してくるような場合には、これを出すとディファ3が成立する可能性が高い。(このような場合にはたいてい、そのスートの2は、ナポレオンが交換のときに捨てたカードの中に入っている。)
ナポレオンは無理して自分一人の力で絵札を集めることもない。どうしても手持ちの札には弱いカードもあるものなので、このようなカードの処理をするには副官の力を頼るのもいい。副官が優秀な人物であれば、自分の出したカードを見て、役カードを使って手番を取ってくれる。
ゲームが進行して、切り札も役カードも全て出切ってしまっているということはよくある。このような時は、純粋に請求スートの上位のカードが強くなるので、切り札でなくても特定のスートの上位カードを多く持っていて、自分で請求札を出せれば手番を取り続けることができ、切り札に頼ることなく絵札を集めることができる。しかし、このような時は手番が他人に渡ってしまうと、逆に何もできなくなってしまうので注意が必要。
なかなか成立しないディファレント3ではあるが、なめてはいけない。時として絵札を4枚くらい持っていかれたりすることがある。
これは、自分が連合軍で、しかもそれなりに強いカードを持っているときにできる技であるが、かなり高度なテクニックを要求される。最初のほうで、ナポレオンに協力するようなそぶりを見せ(口先ではなく、出すカードによってである)、ナポレオンから副官と思われる。すると、ナポレオンは、その人間が手番を取れそうなときには、無理に手番を取ろうとせずに、絵札を出して(絵札をつけて)くれたりする。これを利用して、本当の副官がはっきりと出てくるまでに、絵札を大量に集めるのである。実際にこれをやるのは、副官の妨害もあるので非常に難しい。
逆に、副官が連合軍の振りをしてカードを集めるということもできる。連合軍が副官の振りをするよりはこちらのほうがまだやさしいが、これもなかなかうまくいかないことのほうが多い。
ナポレオン軍が圧倒的に強いと思ったら、連合軍はカードを取ることにさっさと見切りをつけて、全取らせをねらうとよい。この場合はひたすら絵札をナポレオン軍につけ(取らせ)、強めのカードも、ナポレオン軍の出すより強いカードにどんどんくわせる(かち合わせる)。しかしながら連合軍の統制が取れないままにこれを行おうとすると、誰かが1枚くらい取っただけというような、連合軍の惨敗になる。
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